自分で弁護士と交渉する際に注意すべき話し方と戦略
離婚交渉にしてもなににしても、相手と利益が相反する話をする際、
自分の言いたいことをまとめて言ってしまうような事例も少なくない。
言っておかないと認めたことにされかねないとか、
要求しなかったら放棄したと思われるとか、そういった心配もあるのだろう。
しかし、交渉事においては浮足立った方が足元を掬われるという面もある。
多くの言葉を発するということは、
逆説的に考えるとそれだけ相手にヒントを与えているとも言えるからだ。
相手の言ってきたことに対して、
全ての面で反論しようとしてしまうのも同じこと。
反論によって自分の問題に対するスタンスが確定的になってしまい、
以後の立ち回りを自ら制限することにもなりかねない。
また、反論は対比として捉えられるという視点は決して忘れぬことだ。
例えばだが、自分は○○していないと言うということは、
自分はそこにいなかったという推察を与えるスキを作ることにもなる。
言葉には、そういった裏側を取られてしまうという危険性もあるんだよ。
逆に言うと、相手もとい相手方弁護士とかは、
こちらが反論してくることを望んで、敢えて吹っ掛けてきていることもあるわけだ。
だから、鉄火場でなにか発言しなければならなかったとしても、
できうる限りは言葉数を少なくして話をするよう注意した方がよろしい。
なお、弁護士を立てたりする場合は、
こういった観点からも依頼する相手をよく観察してからにした方が良い。
相手の言ってきたことにしっかり反論しようとしたり、
ギッチギチに言う事を詰めて戦略を練ってしまう弁護士は交渉事には慣れていない。
一生懸命なところは買うけれど、結構、危なっかしいんだよ、それ。
そこまで詰めちまうと、一点、突破できるところを攻められたら瓦解する。
場数を踏んでいるヤツはいつだって反撃されることを想定した上で、
相手の口にねじ込めるナイフをもう一本か二本、別に隠し持っているもんだよ。
少なくとも、僕はそうしている。
代理人を立てるにしても、
ちゃんと実効性のある戦略を立てられるようなのを選ばないとな。
言葉は自分を縛る呪文になることもあるものなんだ。
特に鉄火場では使い方を把握した人間が監督をしていないと、
相手に反論をしたつもりでも自分の首を絞めることにもなりかねない。
こういったケースでは回答を迫られる場面が多いから、
仕掛けられた際には、防御を固めながらも動けるようにしておく必要がある。
また、相手のアテを外すことによってこちらから仕掛け返すこともできるから、
そのスキを見逃さないようにしておくんだ。
言葉は裏を取れるって言ったろう。
向こうが仕掛けてきたってことは、
こっちが仕掛けられるスキを見せたってことでもあるんだよ。
行政書士明和事務所
吉田 重信
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