妻に逃げられても自分から追ってはならない理由

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行政書士明和事務所

行政書士 吉田 重信

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ある日、突然、妻が家から蒸発したらどうするか。

 

実は、今現在においては、こういった事例は珍しいことではなくなっている。

事件性のある事例については別として考えるが、
そういった話でなくとも、配偶者が忽然と姿を消すような例が後を絶たない。

 

理由は単純な話で、離婚に先駆けて交渉を有利に進めるために、
まずは荷物をまとめて強引に別居といった手段に踏み切るケースが多いわけだ。

しかも、大抵の場合が子も一緒に連れ去られていて、
交渉においては実質的に子を人質に取られた状態で進めることになっているのが実情だ。

 

こういった場合は当事者のサガとして、
いなくなった家族を捜索しようとするのが一般的なんだけれど、ちょっと待ってもらいたい。

当たり前の話だが、妻がこんな強引な手段に出られるのは、
既に弁護士がついていて、その戦略の下で逃げに徹しているからだ。

 

常識的に考えたらあり得ないことなんだよ、逃げるのは。

だから、当然、妻がいなくなった後に、
夫が探して追いかけたりするのなんか計算ずくだと思っておいた方がよろしい。

こういった事例では、初めから警察にDV被害を申し立てた上で、
役所に対しても住民票の閲覧制限をかけてしまっている。

その上で夫が窓口にやってきて騒ぐことを見越して、
「追いかけてくるので保護が必要なんです」という話に仕上げるのが弁護士達のセオリーだ。

 

追いかけてしまったら、連中の思うツボなんだよ。

こういった場合は、その裏をかくような、
相手が想定していない動きと立ち回りが功を奏する場合もある。

 

焦って追いかけなくとも、連中の狙いが離婚ならば、
黙っていてもいずれは向こうからなんらかの連絡はやってくる。

そのまま放置しても離婚はできないし、
交渉を始めなければ婚費なんかの金も入ってこないからね。

こちらが動きを見せなかったら向こうとしても困るから、
明確な目的があって別居に踏み切った場合は、必ずなんらかのアプローチはしてくるだろう。

 

初手で追ったか追わなかったかは、その時の対応においても大きな影響を及ぼす場合もある。

追ってしまったら、こちらが困っているという体ができてしまっているから、
まず交渉の主導権を相手方に渡している状態で話を始めざるを得ない。

しかし、放っておけば、向こうから話が来たとしても、
こちらには突っぱねるという選択肢が発生することになる。

 

「なんすか、今更」と言える立場だね。

 

言うだけだったら別にいつでも言えるじゃんと思う人もいるかもしれないが、
言葉ってのは言う内容だけじゃなくて立場が重要なんだよ。

追い縋った上で放った言葉と、放置した上で吐き捨てる言葉じゃあ、
同じ言葉でも相手の捉え方も対外的な見え方も違ってくるだろうという話だ。

 

連中としては交渉に応じてもらわなければ困るという腹の中での算段があるから、
取り付く島もない形で突っぱねられたら今度は自分達の方が困ることになる。

そうなると、交渉のテーブル自体が変わってくるよな。

 

 

こういった状態変化を及ぼす立ち回りを、相手を風下に回すと言う。

 

交渉事ではめっちゃ大事な視点だよ。

実際に強いかどうかはさておいて、相手に強いと思わせた方の勝ちなんだ。

 

離婚においても何においても、交渉はケツをまくった方が負けなんだぜ?

 

弱味を見せたらそれで終いだから、
初手で相手に足元を見られないような立ち回りをしないとな。

 

 

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