離婚届を出すタイミングは?いつ出せば良いのか
離婚届を出すタイミングについては、よく聞かれるな。
恐らく、皆、離婚することによって何か事態が動き出すのでは、と警戒して、
このような質問をよくするのだと思う。
しかし、離婚届の効力によって変化を及ぼすのは、
戸籍と子どもの親権に関するもので、それ以外についてなにかが起こるわけではない。
なので、当事者同士で合意ができているのであれば、
特にそれ以外の要件を整えることを考える必要はないだろう。
離婚によって名字は変わる場合があるので、
それによる影響はあらかじめ検討しておいた方が良いがね。
会社や学校についてはどうしたって影響が出るので、
卒業等のひと段落がつくまでは、離婚を先延ばしにしたりするケースも少なくない。
だから、これについては当事者の望むタイミングを見計らった方が良いね。
ただ、個別の事情によっては、それ以上のことを考えなければならない場合もある。
ウチは男性側の相談がほとんどだから、男の立場で話をするけれど、
基本的に男の場合、離婚届は早く出すに越したことはない。
もちろん、本人が離婚を望んでいるのであれば、だけどね。
男性は生活力自体は備わっている場合がほとんどだから、
子どもがいる場合でもなければ離婚に対して風下に回る理由が特にないんだ。
財産分与等についても、請求される立場になることがほとんどだから、
男性側からあらかじめ確保しておかなければならないことはない。
なので、親権に特に争いがなく、離婚届を書いてもらえたのならば、
さっさと離婚自体は成立させてしまった方が良いだろう。
女性側については、こうもいかない。
離婚後に生活してゆく具体的な術がないのであれば、
それについては離婚前に見通しを立てた上で交渉してゆかねばならないからだ。
請求するものがある場合、離婚の成立によって時効期間が走り始めるものもあるから、
それについても話がついてから離婚届を出すようにしておいた方が良い。
つまり、この問題は主に女性側が多くを考えなければならないことなんだよね。
もちろん、今のご時世、女性だって自活できるだけの稼ぎのある人は少なくないから、
そういったケースでは特に細かい話まで検討する必要はないだろう。
ただ、一般的なケースをベースとして話をすると、
離婚届はやはりすべての話に決着がついてから提出するケースが多いようだ。
これはやはり、互いに離婚成立後に感情面で揉めたりすることを嫌ってのことだと思う。
日本の離婚は形式さえ整えれば成立させることができるようになっているけれど、
大きなトラブルを回避するために、気持ちの折り合いを重視するという視点は大切なものだ。
だから、技巧的な観点からの話ではさっさと出しちゃえば、という話にはなるけれど、
骨肉の争いにしないためにも、やっぱり話し合った時期に提出した方が良いよ。
結局、そんな話かよ、と思うかもしれないが、
今回の話は紙切れのみで終わるはずの手続きが、何をもってトラブルを生むのかという話なんだ。
書類上だけでは踏ん切りがつかないものがあるから、離婚は揉めるんだよな。
行政書士明和事務所
吉田 重信
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