代理と代行、そして代書の違いとはなんなのか

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行政書士明和事務所

行政書士 吉田 重信

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立場を明確にするから要望にも応えられる

 

行政書士に限った話ではないのだけれど、
士業ってみんな立場によって仕事のやり方や領域が異なったりするものだ。

ただ、その中で競合する範囲や分野もあったりして、
特に依頼を検討している一般の人達には理解し難い世界の話でもある。

 

しかし、ここの区別をちゃんとつけておくことで依頼人の要望に応えやすくなる側面もあるから、
職務上の自分の立場は明確にしておくに越したことはない。

 

 

今回、改めて読み直したのは兼子博士の著書、「行政書士法コンメンタール」

これだけを読んで業際の問題を全て把握できるわけではないが、
行政書士という立場で仕事をしてゆくのであれば、まずは読んでおくべき本と言えるだろう。

 

行政書士法を軸として行政書士の立場と役割を解説しており、
行政書士の立場を取り巻く一般的な事情や注意点を把握するにはうってつけだ。

 

業法はどうしても独占業務の条項ばかりに目がいきがちではあるが、
法律は全体像を把握した上でその趣旨を理解することが重要でもある。

行政書士法が行政書士という職業を成立させるためだけでなく、
社会に対していかなる役割を担うために作られた法律なのか。

 

それを理解するためにも、全体を通した解釈を学んでおくことは有用だろう。

 

 

立場上の話に関しては、やはり業際がメジャーな話題だろうね。

 

ひとまず、弁護士法との兼ね合いの解釈話は置いておく。

この手の話はすぐそういった観点から話を展開したりなんかするから、
いつまで経っても下卑た子どものケンカのような言い争いにしかならないのだ。

 

ここでは代理権の有無と代書という観点から論じてゆくが、
ものすごい大雑把な言い方をしてしまうと、これは本人の代わりに決められるかどうかの違い。

代理権がある弁護士は引き受けた案件を本人の代わりに考えて処理することができるけれど、
代理権がない僕ら行政書士は本人の代わりに考えて案件を処理することはできない。

 

全ては本人の意思が明確にあった上での対応であり、それが代書という世界なわけ。

 

一時期、この言葉尻を捉えてアホな主張をバラまいていたバカ弁護士達がいた。

行政書士は本人の言ったことをそのまま書くだけの口述筆記しかできない、などといった、
職務を形骸化、矮小化するような理論(?)だね。

 

 

流石に未だにそんなことを言っているバカ弁はいないとは思うが、

 

もしいるんだったら、今すぐバッジ引きちぎって法律家やめろ。

 

 

そんな低レベルで自分勝手な解釈しかできないオツムで活動なんかされたら、
社会の害悪だっつってんの。

 

 

本人意思の解釈の範囲内で活動をするのが代行であり、代書。

それ以上でも、それ以下でもないわ。

 

もちろん、その解釈の範囲内であったとしても、
初めから認められていない裁判所宛の書類とか作ったりするのはダメだけどな。

 

 

ただし、これは一般の読み手でも理解しやすいようにかなり大雑把に説明したものだから、
そこさえ抑えておけばよろしいというものでもないから注意してもらいたい。

 

特に内容証明等の送付については書類上の立場だけでなく、
案件によっては初めから行政書士が関与することがNGと言えるような案件もある。

 

これは個別案件に対する解釈が必要になる問題でもあるから、
もし、自分の判断に自信がないのであればむやみやたらと内容証明に手は出さない方がいい。

 

僕自身は今年で開業14年目になるのだけれど、
実はその間に内容証明を送るような対応をしたことは1件しかない。

 

これは依頼人からどうしても、と頼み込まれてしまったので、
仕方なく引き受けざるを得なかったものだ。

行政書士法11条との兼ね合いもあるし、ね。

 

別にやることに問題のある案件ばかりだったとかではない。

ただ、個人的に内容証明をぶち込んだりするような、
自分の方からバトル宣言をしたりするやり方はあまり好みではないんだ。

 

そんなやり方なんかしなくたって、
相手のケツをまくる方法なんざいくらでもあるはずだからね。

 

ただ、この件は依頼人が自分で決めた方針だから仕方がなかったというだけ。

 

 

大人の世界ではケンカしますと宣言したり、実際に表立ってしたりするのはNGなんだぜ?

 

勝ったか、負けたかなんてのはどうでもいい領域の話で、
他人との間でそんな終局的なトラブルを引き起こしたという事実のみで烙印を押されちまう。

 

それが社会であり、大人の世界だ。

 

 

それを忘れちまっているのが、業界内にも多すぎるんだよな。

まぁ、初めから知らないだけなのかもしれないが。

 

 

なんにせよ、本人の意思、そして希望に素直に答えてやれるのがこの立場の良いところでもある。

案件取りは顧客の要望に応えられてなんぼでもあるからな。

 

それが素直にできる行政書士って、
立場の解釈さえ間違えなければ悪くない職業だと思うよ。

 

 

決して、楽な世界ではないけれど。

 

 

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